映画そもそも日記

映画のそもそも〜ってなんだろう?をベースにした日記

3月のライオン 後編

後編のほうが解りやすい? 相変わらず、門外漢に将棋そのものの魅力は伝わらないが、プロ棋士の世界の厳しさや対局の激しさは前編より伝わってくるし、人間関係の描き方もジメジメ感が少なくなったように思える。内容的には前作に劣らずドロドロのはずなのに…

追憶

昭和の美 この作品は鑑賞者を選ぶだろう。物語もそこに登場する人物の描き方もそれほど深いものではなく、今観るとお涙頂戴と映るものかもしれない。だが、この作品はそのように読むよりも心情や背景を観て感じるほうが良いだろう。しかし、そうして観ること…

美女と野獣

エ!こんな感じ? 全世界で大ヒット!アニメ版は不朽の名作、というフレコミで封切られたのだが、実際に観てみると、「エ!これがその大評判の作品なの?」と思うくらいにつまらない。 キャラクターの描き方がまったく不充分であるのに、キャラクター各々に…

ゴースト・イン・ザ・シェル

古い 映像としてはもう古いのではないだろうか。原作を大切にしていることは解るが、アジアと日本の描き方がステロタイプ的な古いもので、欧米のファンには安心感はあるものの新しさやインパクトに欠け、アジアのファンにとってはかえって腹立たしく思えるも…

ハードコア

映像表現的完成度はA級だが、内容はC級 主人公の主観視点のみで物語をすすめる作品はこれまでも無かったわけではないらしいが、実験映画レベルではなく、娯楽作品として鑑賞に耐えるものを作り上げるのは相当に難しいだろう。この点に関して本作は非常にレベ…

ムーンライト

解らない!! 正直に言う。これは解らない。たぶん、解ってはいけない作品のように思う。黒人の肌の色を一番きれいに表現できる色彩を工夫したと言うのだが、これはいわゆるシアンを乗せて少し露出を多くしたような色味で、これを称して”ムーンライト”というの…

パッセンジャー

息苦しい 閉塞感と孤独を表現することが目的のはずだから、息苦しさを感じたなら作者にとって成功なのかもしれない。確かに、主人公たちが宇宙服を着て船外に出る場面は世界の縁を覗き込むような底の知れない恐怖と疎外感による孤独とを感じる。だから、そこ…

チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話

明るく素直に面白い これはもう、本当にエンターテイメントとしてのレベルが高い。スポ根と漫画的ギャグをバランス良く組み合わせた脚本が素晴らしく、演出のテンポも良く、ベタベタしすぎず、軽くなりすぎず、出演者も泣いて笑って踊ってに若さをぶつけてい…

クリミナル 2人の記憶を持つ男

力作だが空回り ケビン・コスナーが一皮むけて、”異常”をマトモに演じている。二枚目が抜けきらなかったり、どこかひ弱な感じがない。ゲイリー・オールドマンとトミー・リー・ジョーンズも濃すぎず、バランスが取れている。ということでいい作品になりそうな…

素晴らしきかな、人生

確かな登場人物の心象設定 ニューヨークの広告代理店を率いて成功したハワードは娘を亡くし、人生を投げ出しているように見える。共同経営者の大親友や苦楽をともにしてきた仲間2人とも口すらきかない。ついに会社は業績を落とし、買収されるしか生き延びる…

La La Land

素晴らしい! ほんとに素晴らしい作品だなと思う。この監督、前作の「セッション」も素晴らしかったけど、ミュージカルがここまでできるとは驚きで、私のような古い映画ファンには涙モノ。何しろ、物語の前におもむろにスクリーンを区切るカーテンが開いて「…

虐殺器官

設定に疑問 私は伊藤計劃という名前を知らなかった。某映画評論サイトでの紹介文で初めて知った。時代を画するような才能を認められた作家が若くしてこの世を去っていたということ、そして彼の作品を原作とした映画作品が公開されるということに興味を持った…

ナイスガイズ!

ラストの皮肉に思わずニヤリ 息苦しく、不安な今に'70の懐かしい雰囲気、痛快なバディ・ムービーを楽しみたければオススメ。だけど、それだけじゃない。 この作品、いつ企画されたのだろうか?まさか、2016年中に企画の立ち上げから公開まで進めたのか?そん…

キセキ あの日のソビト

アイドル映画じゃない 松坂桃李と菅田将暉のダブル主演だから、若い女の子のファンが目当ての作品だと思ってしまう。実在する、異色の人気ボーカルグループの実話がベースの話だから、音楽満載の派手な作りと想像してしまう。 確かに冒頭のライブのシーンは…

ザ・コンサルタント

新しいスタイル ジェイソン・ボーンのファンなら絶対ハマる、本格サスペンス・アクションと言う触れ込みの作品。それに違わず結構良い出来。 本格的(に見える?)アクションと見事なサスペンスの融合。ラストに向かって張られた謎(伏線)が次々と見事に澱…

初詣

あけまして、おめでとうございます。 今年も初詣に行ってきました。 一昨年は「百円の恋」 去年は「マイ・ファニー・レディ」 そして今年は「海賊とよばれた男」 初詣は元気をもらえそうな作品を選ぶことにしています。 1年のスタートですから。 「海賊とよ…

君の名は

日本の映画界における今年一番の話題といえば、なんといっても新海誠監督の「君の名は」の大ヒットでしょう。あらゆるメディアで話題となっています。しかし、この作品の興行面でのヒットの要因という話題は多くても、表現、作品としてのまともな評価という…

近況 「来年はやったるぞー!」

ゴジラ以降、ずっと休止状態。 現実の生活でもまるで冬ごもり。 しかし、こもってただ寝ていたのではなく、非常に充実しています。 理由があります。 実は面白い本に出会ったのですね。 「出会った」と言うのは正確ではありせん。 この本、2004年ころ、すで…

シン・ゴジラ

シンジへの解答 ゴジラシリーズでは第一作に継いでの傑作となった本作は監督のゴジラへのこだわりが強く感じられる作品だ。ゴジラの姿といい、圧倒的な恐怖といい、その物語のモチーフまで第一作を基本にして現代的にアレンジしたものだ。だが単なるアレンジ…

ズートピア

意外と”深い”のには理由がある 今回は映画「ズートピア」とともに書籍、三浦つとむ著「芸術とはどういうものか」の紹介。 「ズートピア」の評判は総じて好意的です。抜群ではないものの、内容が意外と大人も楽しめるものだというのです。TVでのCMも「意外と…

殿、利息でござる!

意義ある再現ドラマ ぜひ、多くの人に観て欲しい。このようなことが実際にあったということは驚きであるし、これを涙と笑いで再現してくれる監督の腕前には感謝しよう。原作「無私の日本人」は未読であったから、早速注文したほどだ。 日本人は明治維新を見…

あやしい彼女 2/2

日本版の中に出てくる曲で、前回お話したような俳句と似た表現が顕著なのは次の3曲だ。 「見上げてごらん夜の星を」 1963年(昭和38年)発売 坂本九 原曲は1960年に初演された同名ミュージカルの劇中主題歌。日本レコード大賞作曲賞受賞。 作詞:永六輔 作曲…

あやしい彼女  1/2

あやしい勘違い 楽しめるし、悪くない。倍賞美津子さんと多部未華子さんのつながりに難があるけれど、それでも白目をむいて茹で上がって見せる多部未華子さんはそれを乗り越える魅力がある。しかし、元は大ヒットした韓国映画のリメイクだから、オリジナルよ…

オデッセイ 追記

誤訳? 主人公は自分の行動をビデオにメッセージとして記録しているのだが、物語はビデオに残す彼の音声メッセージがその場面の説明にもなるというように工夫されている。彼は一人取り残された火星で生き残るために食料として保存してあったじゃがいもを種芋…

オデッセイ

達観 前回に続いて、極意を観た感じだ。一見して、軽い、明るい、シンプルな作品。話の設定や内容は結構複雑なことをやっていいるはずなのに、訴えてくることはシンプル。自分を信じて諦めず、前向きに今できることをやる。でもこれって、宇宙飛行士だけの特…

マイ・ファニー・レディ

人生の帰結 この作品はある女優がインタビューに答えているところから始まる。彼女は記者に「魔法を信じる」と、そして「ハッピーエンドが好き」と何度も答える。ここを見て古い映画ファンなら「もしかしたら?」と思うだろう。私もその内の一人で、見終わっ…

明けまして、おめでとうございます!

本年もよろしくお願いいたします。 今年も初詣に行って来ました。 今年の初詣は千葉劇場で「マイ・ファニー・レディ」ですね。良かったぁ!感激とか感動とか言うのではなく、しみじみ「良かったぁ〜」と心に残る良作でした。 なぜそう思えるのかというのは後…

クリード チャンプを継ぐ男

シリーズ第1作の味わい 正当な続編というのは正しい。 2作目以降の演出過多なヒーロー物語と言うよりは1作目と同様の練習から試合に望むプロボクサーとしての側面と自身のあり方に悩む人間としての側面が平行して描かれる比較的よく出来た人間ドラマである。…

スターウォーズ フォースの覚醒

半分残念 さて、この「フォースの覚醒」については、特にエピソードⅣからのファンは複雑な気持ちだと思う。なぜなら、映像面での出来は上出来といえるものだけれど、内容についてはもっとやりようがあったのではないか?と、疑問を持たざるをえないからだ。…

亜人 第1部 ー衝動ー

面白い主人公の性格設定 通常は未熟で感情的な者が経験を積むことによって冷静かつ論理的に成長する話が描かれることが多い。しかし、この物語は逆に他人に共感できないもの=社会性に欠ける若者の成長の物語だ。この方が今の若者の共感を得るのだとしたら、…

リトルプリンス 星の王子さまと私

子供大人のファンタジー 先日、実写ファンタジー「Pan」とアニメーション作品「リトルプリンス 星の王子さまと私」という2つの作品を続けて観た。子供を対象とした作品におけるデフォルメということに興味があって、2つの作品を比較してみたかったからだ。し…

エール!

障害者に対する気付き 主人公のポーラは酪農家の両親と弟の4人家族で、毎日家業を手伝いながら学校に通っている思春期の女の子。彼女の家族は彼女をのぞいて全員耳が聞こえない。現実には大変な話だと思うけれど、ちっとも暗くない、とても明るい希望に溢れ…

ナイトクローラー

現代アメリカ社会を映す異常な男 評判の作品だったのに観る機会を逃し、ようやくの鑑賞。だから、Yahoo!のユーザーレビューなども何度か読んでいた。そこではこの作品は「サイコパスの話」という見方が多い。公式サイトでは作品紹介のタイトルが 「視聴率至…

ガールズステップ

隠れた宝物 青春モノの定番といえば、昔はスポーツが軸となることが多かったが、今やダンス。年配者にとっては多少違和感があるものの、見れば納得。同じことだ。またメニューも同じ、友情と恋。昔とちょっと違うのはスクールカースト。それ何?この感覚だけ…

アントマン

あまり「ニヤリ!」がないスーパーヒーローコメディ 笑えるヒーロー物という新しい形の作品だけど、実はそんなに笑えない。笑えないようなシリアスな場面が出てくるというのではなく、そんなに面白い場面がないのだ。つまりちょっと中途半端なのだと感じた。…

シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人

経済問題ではない 邦題だと経済問題を扱った作品だと思ってしまうが、これはあくまで2人のおばあちゃんを追った作品である。原題の「Two Raging Grannies」はそのものずばりだ。だいたいが、ここでおばあちゃん2人が気付く、経済の根本的な問題、「経済活動…

天空の蜂

感性と論理の調和 久しぶりに映画に没入した。社会問題、人間性と娯楽性をこれほど高いレベルで調和して見せたのは邦画では黒澤明監督以来ではないかと思う。テンポ良くスピード感にあふれた演出だが、一つ一つの見せ場がどれも質の高いもので、鑑賞者の心を…

マジック・イン・ムーンライト

好き嫌いで選ぶのはダメ? これだけ寒い日が続くと、もう随分と前の話のように思えてしまうが、お盆休みの最終日にウディ・アレンの「マジック・イン・ムーンライト」を観た。普段、ウディ・アレン物はほとんど見ないんだけど。 いつも思うのは、学校の休み…

海街 diary(4/4)

アカデミー賞作品「バードマン」との比較 もちろん、是枝作品は表現の構造を説明するために撮られたものではないだろう。では、この撮影方法による効果を何のために使ったのかを似たような主観表現という、同様の手法を使った作品、「バードマン」と比較して…

海街 diary(3/4)

落ち着かない心と意識の集中とは? しかし、海街 dialyを観て画面がブレているとは思えないし、落ち着かないと言っても、非日常を意識しているわけではない。それでも意識は強く画面に惹きつけられているのだ。これは、検証してみたわけではなく、あくまで私…

海街 diary(2/4)

マッドマックス 怒りのデスロードがあまりにも面白くて、途中でいろいろ書くことになってしまったので、ようやくこちらに戻ってきた。すみません。 落ち着かない自分・惹きつけられる自分 映画は動く写真として生まれ、まだ、映画として成長する以前から現在…

マッドマックス 怒りのデスロード (3/3)

昔々、あるところに・・・ 2つめの系譜。マッドマックス2では物語はアクションに対して従の関係にあると言いました。何でもありのアクションを活かすために作られた核戦争後の荒廃した世界という設定。しかしそれが後の多くの表現に大きな影響を与えること…

マッドマックス 怒りのデスロード (2/3)

マッドマックスへ繋がる2つの系譜 カーチェイス いかなジョージ・ミラースタイルといえども、全く何もないところから生まれてきたわけではありません。この作品に繋がるポイントとなる作品をいくつかご紹介しておきましょう。 1つめの系譜。マッドマックス…

マッドマックス 怒りのデスロード (1/3)

映画スタイルの誕生 面白い!緊張感が途切れることなく、最後まで飽きさせない。シリーズ最高傑作の評判は嘘ではないですね。最高に楽しめる、これぞ映画!という作品です。 映画は動く写真として生まれたと言うのは弁証法の大家、三浦つとむさんの名言(著…

海街 diary(1/4)

邦画は解りにくい(ものもある) 正直に言えば、私は是枝作品を観たのはこれが初めてだ。だが、いっぺんで好きになった。食わず嫌いだったというわけではない。機会がなかった。ハリウッド作品などに比べ邦画はわかりにくい。欧米の鑑賞者の娯楽より作者の表…

イニシエーション・ラブ

皆さん、結末どう思う? 結末、あのタネ明かし部分ではなく、原作にはない鉢合わせ部分、これだけ賛否両論あるということはそれだけで大成功な作品なんでしょうね。私も楽しませてもらいました。 原作は映像があまり思い浮かばないし、主人公の男の容姿など…

メイズランナー

違う興味が? 想像していたほど、面白さは無かった。なんか、中身が薄い。でも物語としての面白さより、キャスティングが興味深かった。 そもそも、映画は表現であるから、創った人間の思いが対象化されている。できた作品は作者の心が映画という形をとって…

チャッピー

あんまり、かるく観てはいけません。 オープニングとクライマックスのアクションシーンは対立する人間同士、ロボット同士の設定やデザインも含めて「ロボコップ」の完全なパクリ。ここまでパクリだと、何か意図があるのかと勘ぐってしまうが、作品の裏に通っ…

Zアイランド

どうしても好きになれない世界観 品川ヒロシ監督はこのヤクザ者達の世界観と言うか、感覚を茶化して笑っているところもあるのだけれど、その感覚をよく解ってもいるようだ。もちろん映画作りも。良く解っているからこそ、茶化すこともできるし、笑い飛ばすこ…

駆け込み女と駆け出し男

新しいのではなく、1廻りして この作品、色が良い。自然で瑞々しい。そしてセリフ回しや方言の使い方、登場人物たちやその背景の生活感なども、現代人に解りやすく十分に演出されていながら、無理がなく自然に受け取れる。大泉洋の立て板に水の口上まがいの…