映画そもそも日記

映画のそもそも〜ってなんだろう?をベースにした日記

ハードコア

映像表現的完成度はA級だが、内容はC級 

 主人公の主観視点のみで物語をすすめる作品はこれまでも無かったわけではないらしいが、実験映画レベルではなく、娯楽作品として鑑賞に耐えるものを作り上げるのは相当に難しいだろう。この点に関して本作は非常にレベルが高い。しかし、その手法はシューティング系のビデオゲームそのものだろう。物語の基本的な設定も近頃流行りのありふれたもの。この手法はストーリーが単純な方がいい。なぜなら一人の主観映像だけだから、複数の観点から鑑賞者に状況を客観視させることが出来ない。鑑賞者は物語世界へ移入するのではなく、物語世界の中のただ一人の認識とシンクロする。宣伝用のコピーはここから来ているのだろう。そういう制限がありながら、十分な娯楽性を持っていて、映像表現的な完成度はすこぶる高い。しかし、この娯楽性の部分が人を選ぶ。グロなのだ。最初から最後までグロテスクな暴力と殺人の場面が延々と続く。これを楽しめる人は良いが、少なくとも私は楽しめなかったし、今後も理解したいとも楽しみたいとも思わない。好みはハッキリと別れるだろう。そこを納得の上、鑑賞を。