映画そもそも日記

映画のそもそも〜ってなんだろう?をベースにした日記

亜人 第1部 ー衝動ー

面白い主人公の性格設定 

 通常は未熟で感情的な者が経験を積むことによって冷静かつ論理的に成長する話が描かれることが多い。しかし、この物語は逆に他人に共感できないもの=社会性に欠ける若者の成長の物語だ。この方が今の若者の共感を得るのだとしたら、社会をよく反映した物語だといえる。ただし、論理的であることと冷静でいられることとは同義ではない。彼が窮地に陥った時にも冷静に論理的に考えられるのはやはり物語だといえるが、そこは大目に見ても良いほどに話は面白い。 

 

対象を絞った潔さ 

 「Pan」、「リトルプリンス」のときに対象を絞りきれていないと書いたが、日本のアニメーションの場合は漫画を原作としている場合が多いため、その制約が端からない。漫画は対象読者が非常に細分化されている。そのため、その対象にあったコアな題材を設定することができる。漫画ファンは厳しいから、アニメ化に求める原作に対する忠実度は高い傾向にある。この2つの要因から、日本の漫画を原作としたアニメは漫画のやりたかったことをアニメで効果的に表現することに重点を置くようになったのではないか。原作は未読だが、このアニメ作品の独特の持ち味は原作の良さをアニメ化によって失うことのないよう十分に配慮されたものに違いない。そして、この対象を絞った潔い作りは、私のような新参者のオヤジでも十分に楽しめるものだった。主人公がどのような成長を果たすのか、つまりは作者が今の若者をどのように捉えているのか、TVシリーズも含めて楽しみなのである。